gamescom asia 2021

Published: 2021年11月26日

読了時間:7分

概要

2021年、ヨーロッパ屈指のビデオゲームの見本市であるゲームズコム(gamescom)のアジア版が、満を持してデビューを果たしました。シンガポールに拠点を置くgamescom asiaは、グローバルなパートナーシップを模索する東南アジアのゲーム開発者と、アジアのゲーム業界とのパイプを築きたい世界的なパブリッシャーの双方にとってのプラットフォームです。

2021年10月14日~17日にサンテック・コンベンション・センターで開催されたこのハイブリッドイベントは、リアルとオンライン合わせて、60か国から2,200人以上が参加しました。ケルンメッセ・シンガポールの主催、そしてドイツのゲーム産業の主要セグメントで構成されるドイツゲーム産業協会、gameの後援によって実現しました。イベントは、B2Bの参加者をターゲットにした業界会議と「バーチャルトレードゾーン」(10月14日~15日)と、すべてオンラインで開催された「エンターテイメントゾーン」(10月15日~17日)などで構成しました。

この4日間にわたる心躍るイベントの数々には、ライアットゲームズ、バンダイナムコ、Neon Doctrineなどの名高いスタジオから業界の専門家を招いて行われた、パネルディスカッション、基調講演、技術交流などがラインナップ。最新ゲームを試遊できるハンズオンや製品のデモも実施。ライブ中継、プレビュー、ゲームトレーラー、オンライン対戦やインタビューなど、バーチャルで参加した熱狂的なゲーマーたちにも目配りを怠りませんでした。

2つのパートナーイベントで、gamescom asiaはさらに活況を呈しました:ゲーム業界と音楽、スポーツ、マーケティングの各業界のシナジーを追求するトレードカンファレンス、「Gaming Matters」。そして世界中のゲームスタジオのスタートアップを支援する「Global Top Round (GTR)」カンファレンスです。後者のイベントには、投資家、パブリッシャー、パートナーに加えて、GTRが毎年実施するアクセラレータープログラムでトップ20に選ばれたファイナリストも参加しました。

リアルとデジタルの融合

gamescom asiaが持つハイブリッドな性質を反映して、スピーカーも参加者もリアルとオンラインを跨いで、シームレスにイベントを体験しました。先進的なテクノロジーを駆使して、ライブステージやライブストリーミングによる対談を実施。現地のスピーカーと世界中のスピーカーがオンラインで参加しました。

デジタルで参加している人たちにも上質な体験を提供し、リアルに現地にいる人たちとの交流を促進するために、バーチャルトレードゾーンなどのデジタルプラットフォームを設置。開発者、パブリッシャー、インディーゲームクリエーター、eスポーツのオーガナイザー、ベンチャーキャピタリストなど幅広い参加者間でビジネスの議論が展開されました。

Flying Wild Hogのアートディレクターで、gamecom asiaのパネリストの一人、コンラッド・チェルニック氏は、リアルとバーチャルの参加者の融合を体験したことについて、2年間リモートワークで自宅から仕事をしていたことで、カメラに向かって仕事することに慣れていたことがアドバンテージになった、と語ってくれました。「どんな感じになるのかはわかっていましたし、このスクリーンの裏で奮闘している人たちの姿も想像できました。でも、何もないカメラに向かって話すのではなく、目を見て話せたのは良かったです」。

コンラッド氏は加えて、それぞれの時点でのオンライン視聴者の数が把握できたことなど、整理された効果的なインターフェースも体験の質を高めてくれ、より余裕を持って話すことができたと述べています。

妥協のない安全対策

gamescom asiaの成功を支えた要素で欠かせないのは、安全対策の企画・実施に細心の注意が払われたことです。明確なプランに基づいて、フレンドリーでしっかりと教育されたイベントスタッフが遂行することで、出展者も参加者も心地良く安心してイベントに参加することができました。

「Gaming Matters」を陰で支えたオーガナイザー、BrandedのCEOであるジャスパー・ドナト氏は、Brandedがシンガポール政府およびシンガポール政府観光局と緊密に連携して、参加者がイベントを楽しむことを妨げることなく、考え得る安全措置をしっかりと履行する方法を模索したことをシェアしてくれました。

「一度会場に入れば、参加者は自由に歩き回ることができました。それはまるで、話したり、会ったりすることができる小さなバブルの中にいるようでした。人々がまた会うことができるのを目にすることでき、とてもうれしくなりました。かつてのように、人と会うことができる喜びが顔に浮かんでいるのを見られることは素晴らしいことです」とジャスパー氏はコメントしました。

マスターカード東南アジア地区のマーケティングディレクターで、「Gaming Matters」でパネリストを務めたカヴェリ・クラー氏は、イベント開催までの明瞭なコミュニケーションも、参加者の信頼感を醸成する上で有益であったと付け加えています。「やるべきこと、現地入りすべき時間、そしてソーシャルディスタンスの確保を徹底する方法なども明確に伝えられていました。そうした細々としたことが、全体としての安心感につながっていると思います」。

次のステージへ

旅行やイベントを取り巻く環境が大きく変化する中でgamescom asiaを成功に導いたことは、ビジネスやイベントのハブとしてのシンガポールの能力を立証することになりました。テクノロジーを困難の克服のためではなく、業界を前進させるための手段と捉える革新的なマインドセットがあったからこそ得られた結果です。

ハイブリッドイベントとしてのgamescom asiaは、パンデミックの影響で自国に閉じ込められた参加者をつないだだけでなく、国境を超えて旅をする手段を持たない若いゲーマーたちも巻き込むことができたのです。また、イベントの継続期間を延ばすことにもチャレンジ。イベントのデジタルプラットフォームを継続的に使えるようにすることで、イベントに参加できなかった人にもコンテンツにアクセスし、動画を視聴したり、同好の専門家とつながったりする機会を提供しました。

gamescom asiaは、シンガポールが誇るゲーム業界の確固たるランドマークとなりました。同時に、シンガポールが今後ホストするすべてのイベントの方向性を示したとも言えるでしょう。

イベントに関わる主要データ

メディアへの露出

80

スピーカー&パネリスト

視聴回数

3,900

回(ライブ、オンデマンド合計)

参加者

2,200

60か国から集まった業界企業

ビデオ・ハイライト